佐々木一成のブログ

元JOYBRASS トロンボーンアドバイザー 佐々木一成のブログです

質問に答えます。vol.2

どうも、アドバイザーの佐々木です。
今回はまた集まってきた質問に答えていきますよ。

Q
黄ベルと赤ベルで悩んでいます、赤ベルのほうが価格が高いので赤ベルのほうが良い楽器なのでしょうか?

A 好きなほうで大丈夫です!
いや本当にこういうのって好みですから、確かに各々のパーツの影響力は大きいのですがより「自分の声」に近いものを選ぶのが良いと思います。それよりもその個体が好きかどうかで判断して良いと思いますよ~
因みに価格に差があるのはあくまでも材質のコストの原価の差、製造時の手間などから設定されているので 黄ベル赤ベルということはありません。

Q 佐々木さんはフランスで勉強されたことでクルトワを使われてきたみたいですが、どういった経緯で今はエドワーズをメインにされているのでしょうか?

A お店で吹いてみたら、良かったんです。
本当にただそれだけの理由です。それまでずっとクルトワを吹いてきてはいたんですよ、でもたまたま吹いたものが自分の出したい音とリンクしたような感覚になったんですよね。そのことだけで十分に使いたい理由になりましたね。そもそも楽器のメーカーに対するイメージというのはみんなそれぞれあると思います。僕もそういったイメージありますが、自分が出したい音がイメージ通りの楽器とマウスピースで必ずしも出ないということがあります。なので、出来るだけそういった先入観や偏見を持たずに試奏なりしてみるのも大切な時があります。
僕はいわゆるアレッシホーンを使っているのですが、お店でとあるお客さんに吹いてもらったときに
「佐々木さんの楽器はすごく良い楽器だと思うんですけど、アレッシホーンとしてはポンコツな感じですね」
と言われまして、めちゃくちゃ面白かったです。いやまさにそういうことが大事だよと今は思います。

Q お店でトランペットを吹かれてましたね?なんでトランペットも吹いているのでしょうか?

A トランペット、吹いてみたら楽かったからです!
っていうか「なんで吹いてる」なんて若干トゲがあるように感じますが…ふふふ、そんなの気にしません。
なんだかんだでラッパ2本持ってますよ!あっ…バストランペットをいれたら3本ですね。まだ全然吹き慣れないですけどちょっとづつ練習してます。
トロンボーンと違うといえば違うけれど同じっちゃ同じなんですよ(なんじゃいな)、金管ですしね。
ですのでトロンボーンアドバイザーという立場ですが、トランペットも勉強中みたいなものなのでトランペットのみなさんもお店に来られた時は相手してください~(願)

はい、今日はここまで。今のところ個人的に結構エッジの効いた質問が多く集まってる気がしないでもないですが、なんでも大丈夫です!
tb@joybrass.co.jp までよろしくお願いします~

それでは、また。

音=声

どうも、アドバイザーの佐々木です。

管楽器にとって音はなによりも大事ですよね、音のクオリティが音楽の質の大部分を占めるといっても過言ではないと思います。
僕がトロンボーンを始めたころというのはミシェル・ベッケさんの音が好きすぎて、
「なんとかしてこの音の感じになろう」と推奨されてる奏法なんてガン無視であれじゃないこれじゃないと試行錯誤しまくっていました。結果…

まともに吹けなくなりました!!

いやー悩みましたね…当時はそのことが原因なんてわからないまま調子が悪いけどなんとも出来ない状態が約2年くらいありまして、その後少しづつ良くはなっていきました。時間がかかったのは今考えてもベッケの音という呪縛から離れていく時間そのものだったと思います。
とにかく自分の音をそのまま認めていくような向き合い方を練習の時に意識してやっていました。自分の頭にある音をそのままシンプルな形でトレースするように音出しをしていくことで自分のベーシックなサウンド感を見つけていく感じというか、自分の良い状態を引き出していく作業というのが必要でしたね。

まさに自分の声を見つける感じです。金管楽器は特に人の声と一緒で生まれ持った基本の音は変えることが出来ないけれど、マウスピースや楽器で変化する余地を残しているような感じだと思います。だからこそ自分のプレーンな音色をわかっていることで、毎日の調子や楽器のコンデイションなどを知る目安にもなりますよ。ポイントは小細工をしない、あくまでシンプルに、繰り返すことで体の反応を待ってあげることです。

今回のまとめ(初出)
自分の声を受け入れよう、佐々木はベッケの音が好き。

それでは、また。

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スケール地獄、はたまた天国

お前も、スケール地獄に落としてやろうか‼(閣下より引用)

どうも、アドバイザーの佐々木です。
いやー皆さん、スケール練習してますか?

留学時代といえばスケール
スケールに始まってスケールに終わるといっても過言はないくらいでした。
半音階、2,3,4オクターブからインターバル、3度、4度、5度…全音階 etc.

もうね、これが逃れられないんですよ。フランスのレッスンでは朝から始まって最初にみんなで基礎をやっていくのですが、ロングトーン的なやつとかリップスラーもトリルもとにかくスケールに組み込まれた形でわーっとこなしていくんです。さらにグループなので数人がまるでついていけてなくてもどんどん先に流れていくので出来ないとただただ吹けない時間が過ぎていくだけなんです。周りの生徒は普通に吹いていてその時の疎外感たるや…
これは敢えてやっているところもあって、普段からちゃんと触れていないといけないという意識づけの意味もあるのです。

それは曲の音列のほとんどがある調性に従って書かれていますから、それらを習得することでより作品の理解と演奏テクニックをより早く結びつける効果があります。
これがなかなかレッスンでやれといっても難しいのですが、これ本当にやった分だけ効果出ます。クオリティも大事なのですが、それ以上に体に音と動きが染み付いてしまうくらいにをこなすのもとても重要です。時間がなければスケールの練習を優先的こなすことで技術向上になりますし、個人的な体験だと音域アップにもとても役に立ちますよ。

それでもなかなか生徒に課してもみんな避けちゃうんですよね…。
こうなったらイベント化しちゃったりしたほうが良いのかも?

ジョイブラス春のスケール祭り
真夏の蒲田スケール大会
秋のスケール大収穫祭
第21回紅白音階合戦
みたいな感じで…

そしたらもう年中スケールが止まらないですよ。
I can't stop the scale practiceです。

初めはしんどいかもしれません、でもやることでだんだんと少しづつでも見えてくるはずです。
きっとそこには楽園が…


それでは、また。

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Courtoisのシェア

まだまだ暑い日が続きますね。
どうも、アドバイザーの佐々木です。

今回はフランスの常識非常識の第2回、フランスでのクルトワのシェアはどのくらい?です。
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昨今の企業買収の流れの中で、現在はドイツ国内で生産されているCourtois(クルトワ)製品。実は前にも一度ドイツで作られていた時期もあります、B&S社の傘下だった時代のものです。僕の持っている楽器の一本はその時代のものですね、生産場所の違いでなにかが変わったかと言われるとまあ違うのでしょうけれどそれ以上に個体差のほうが大きく感じる気がしますね。
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そんなクルトワのトロンボーンはフランスにおけるシェア(主にプレーヤー)はどのくらいかというとですね。

およそ90%くらい(個人的感想)
す、すみません…そんなデータを集める余裕なんてなくてですね。僕のネットワークを駆使した感じだと、そんな印象なんです…。

次点でBachかな?という感じでしたね、特に留学当時は。それに私のリサーチによると今でもそんな感じみたいですよ。

こんなにも自国の単一メーカーを学生からプロまで使うことはこういう時代の中でも珍しいのではないかと思います。
この間の6-1/2話といい、考えてみるとなかなか興味深い事象ではないでしょうか。

ちなみにフランスに於いていわゆる太管テナーバスが使われだしたのは1970年代半ばくらいからだったそうで、それまでは現在でいう細管テナーを使っていました。ジル・ミリエールさんがオペラ座に入団した時は細管テナーでオーディションを受けた話も昔聞きましたしね。
現在でこそバストロンボーン科があったり、授業でちゃんとアルトを使ったりしますが大昔はそういった棲み分けもなく、みな同じ楽器でオーケストラもこなしていました。少なくとも僕のいた2000年前後なんてベートーベンにアルトを使っている演奏会なんて見たことなかったような気がする…。

とまあこんな感じでですね、こんな情報社会になった現在でも独自の路線を進む様は面白いですね。
もちろん流行り廃りはあるのでしょうけれど基本のラインはおさえる的なところにスタイルとしての矜持を感じます。

それでは、また。

質問はtb@joybrass.co.jp までどうぞ‼

質問に答えます。

どうも、アドバイザーの佐々木です。
今回は寄せられた質問(ありがとうございます!)に答えていきますよ。


Q 楽器を何本か持っていますが、コンディションを保つのに気を使います。
佐々木さんはどうされていますか?

A そうですね、僕は現在5本持っているのですが、
ぶっちゃけそんなに気にはしていません
必要な時に必要なセッティングをしているのであまり劣化等は気にしてませんね。
ただしまう時には必ず掃除をしてしまうというのが鉄則だとは思います。
あと何年も使わない楽器がありそうであれば年に1、2回ケースを開けて楽器をチェックするくらいですかね。
しまってある場所も関係しますが、日本の気候を考えると楽器にはやさしくない気候だと思いますので。定期的に状態をチェックすれば大丈夫な気がします。


Q 留学先はどうしてフランスだったのですか?

A 高校の頃にフランス人プレーヤーを多く聞く機会があったし、トロンボーンをちゃんとやろうと思ったのもパリ・トロンボーン四重奏団を聞いた衝撃からでしたので自然とフランスで勉強したいと思ったんですよね。
当時はパリトロが2年おきくらいにツアーもやったりしていて、それに伴いマスタークラスやレッスン等もありましたし、広島という土地でもそういうのに触れられる機会が多かったのを憶えています。高3の時でしたか、学校全体の芸術鑑賞の時間でパリトロが講堂で演奏したのですが、今思うとすごいことでしたね。トロンボーンを吹く者にとっては贅沢な学校行事でした。(友達は良さがわかってなさそうでしたけど)
それから僕の師匠の一人である若狭和良さんに習っていたのもあり色々と相談しながら留学を決めた感じでしたね。


Q 良い音がなかなか出なくて困っています。

A そもそも良い音とはなんぞや?的なところもありますな。これはなかなか難しくて、この前お店に来られたお客様で同様の悩みを持っていると伺ったのですが聞く限り問題ないと思ったので、「個人的には問題ないと思います」とお伝えしました。息を使って良いバランスで振動が起きている音であればそんなに気にしなくて良いと僕は思っています。むしろそこを気にするあまりバランスを崩してしまったりするほうが良くないことだと思います。音に対して何かをしようとするのではなく、楽に吹いて響きがある状態こそが自分のベースの音として考えましょう。そこから音楽を考えていくほうが良い結果になるのではないでしょうか。
僕自身も音のノイズや音色の感じをなんとかしようとしてた時期がありますが、そればかりが気になってしまって音楽をどうするかみたいなところがおざなりになってしまった経験がありますね。ですので、そこまでシビアに考えないということで頑張りましょう。


はい、今回はここまでです。こんな感じで色々な質問をいただければと思います~
質問はtb@joybrass.co.jp まで【質問コーナー】と題して送ってください~

それでは、また

リムトップからクルークまでの距離

ここにきて暑さが増しましたね、どうも、アドバイザーの佐々木です。
f:id:kazooy:20160818114106j:plain上の画像のマウスピースは僕の私物なのですがこれらは全てシャンクを1mmほど浅く入るように長さや太さを変えてオーダーメイドされたマウスピースです。

どうしてこんなことをしたのかといいますと自分の楽器との相性が良いからなんですね。

アドバイザーとしてお手伝いするようになってからは、毎年ボブリーブスさんがジョイブラスに来られてるのですが。2013年に来日された時にトランペットのマウスピースをレシーバーに挿した時のシャンクエンドとリードパイプの距離(ギャップ)が吹奏感やツボに大きな影響を与えるということを僕自身がイベントを見て初めて知りました。(今年も9月18日にトロンボーンマウスピースのイベントをやりますよ)

それでふと思ったんですよ

トロンボーンだとどうなのか?と

聞いてみたところ

「ハサミと紙、楽器を持ってこい」とのことで
用意しました。
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その後は

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紙をこんな風にですね、幅の違う短冊形に切りまして。

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こんな感じでパイプにマウスピースと合わせて差し込むと出来上がりです。
これを何種類かに切った紙で試すのですが、幅の大きいものがよりマウスピースの挿し込みが浅くなります。

これをボブさんを目の前にしてあれやこれや試していたのですが、ある紙のタイミングで音の響きがすごく良いバランスで鳴ったんですよね。めちゃくちゃ驚きまして・・・

「その長さが好きなのか?なら印をつけてあげるから、それを基準に曲や仕事の内容で微調整しなさい」

「本当は唇の振動部分からの距離なのだけれど、測るのであればリムトップからクルークの曲がるところまでの距離、その距離で変化が起きるんだ」
それがちょうど通常よりも1mm浅く挿しこまれた状態だったのです。
それからは多少色々と試したもののその時のバランスで何もかもやっていますね。
これをペーパートリック(トランペットとやり方は同じ)と言って、しばらくそれで吹いていたのですが水分で紙は比較的短時間で破れてしまうのでビニールテープを使ったり、真鍮ペーパーを使ったりしてましたけど。
結局その都度つけたり外したりするのに面倒くさくなってしまい。

う~ん・・・よし、作ってもらおう

ということになり、注文していった結果、最初の写真くらいに今現在はなっているということなんですね~

このペーパートリック、試すのは簡単なのでだれでもお試しになれますよ!ただし破れた紙片がパイプ側についたりとかするので自己責任でお試しくださいね、僕がいるときにお店に来ていただければ色々とお手伝いできます‼

まあでもこのやり方はあくまで距離を出すことしか出来ないのと、スライドチューニングの楽器などはどうなんだ?とかいうのもあるのですがそれでも楽器との相性というのはそういう要素もあるということが重要だということです。
僕もあれだけ作っておいて楽器が変われば合わない可能性が出てくるのですが・・・少なくとも僕の場合はメリットが大きかったですね。

それでは、また。

質問募集中です~
楽器、奏法やそれ以外のことなんでも質問してください
tb@joybrass.co.jp まで、タイトルを【質問コーナー】でお願いします!

続6-1/2縛り

前回の記事はそれなりに面白かったとの評価を頂きまして、モチベーションが少し上がっております。
どうも、アドバイザーの佐々木です。
でですね、じゃあお前はどの6-1/2を吹いているんだというお話も頂いたのですが…

すみません、私、今6-1/2使ってません…

いや、なんなんだという話なんですがあれですよ、色々吹いてみてですね…現時点の楽器に合うやつを選んだ結果ですね…
今のところ5Gや4Gや3Gあたりを使っております。ハイ

そもそもああいう話を書いたのもそういう経験がありますよ、ということで書きましたのでそれが全て良いみたいなことではないですから~!そこのところをよろしくお願いします。
最近ではマウスピースがこれだと良いだの悪いだの調子が云々…とかお店にいてもそういった相談を受けることが少なくありません。
まあ僕は楽器(マウスパイプ)が変わればマウスピースも変わると常々思っていまして、楽器を選ぶときに良いなと思う楽器と出会う場合は、自分の使っているマウスピースとのマッチングが良いということと楽器自体が良いということが半々くらいに考えても良いくらいに思っています。ですので色々言われていても自分の感覚を信じて選んでみたほうがより良い結果が生まれるのではないでしょうか。

僕自身のことですが、今はメインがエドワーズにボブリーブス4Gという組み合わせですが、フランスっぽいスタイルだと良く言われたりもするのでメーカーのもつイメージはイメージでしかないと思う今日この頃です。

まあ、とにかく言いたいことは

好きなマウスピースを使えば良いじゃないか

ということです。
それでは、また……あ‼質問コーナー用の質問は随時募集中です~
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では!